
フリースペースのスタッフさんに、父が怒鳴ったり物に当たったりすることに恐怖を抱いていると相談したところ、父のやっていることは面前DVという虐待の一種であることをようやく大人になってから知りました。
簡単に説明しますと、
殴ったり、ときには怒鳴ったり、物を壊したりする行為は、相手を恐怖に陥れることで服従させる効果があり、これをDV(ドメスティック・バイオレンス)と言い、子供の見ている前で夫婦間で暴力を振るうことを面前DVというそうです。

今までどれだけ理不尽な父の機嫌に振り回されてきただろうか。
とても苦しかった恐怖の正体を知ったことで、私は救われたように安堵の涙を流しました。
それから私はフリースペースのスタッフさんから勧められた知り合いのカウンセラーの先生と、父に「あなたのやっていることはDVであり、DV防止法に当たる」ということをどう伝えていくか一緒に考えていくことになりました。
まず意思確認されたのは母は父と離婚をするのか、それとも我慢をしていくのかという選択肢。
父の同意を得なくてもいいなら、「あなたがDVをやめて変わってくれなければ一緒にはいられない」と家を出てしまうという強行手段。
その代わり意地の張り合いになってDVをやめてもらうのに時間が掛かったり、離婚しなくてはならない状況になることも覚悟しなければならない厳しい方法です。
同意を得るならば、慎重にならなければいけないので時間は掛かりますが、DVをやめてもらうためにどうしていけばいいか家族が同じ方向を向いて話し合いをするという負担の少ない穏便な方法です。
離婚と我慢。極端な選択肢ではありますが、加害者は暴力を用いて相手を恐怖で支配し、自分の思い通りにコントロールするという手段を自ら選んでいるのですから、その手段を奪われ取り上げられてしまうことを嫌がってカウンセリングを拒否する可能性は大いにあります。
加害者の反感を買って暴力が悪化してしまった時のアフターフォローも先生は気にしていました。
加害者本人に同意を得てカウンセリングルームまで足を運んでもらうということは、それ程までにとても難しいことなのです。
母は自分の親の介護があり、働いている時間がほとんど設けられないということで、離婚はせずにカウンセリングルームへ父に来てもらえるよう同意を得ていく方向で決まりました。
でも本当の母の気持ちは、父と熟年離婚する気力も残っていないし、結婚してからずっと専業主婦としてやってきた自分が、同じ年代のバリバリ共働きしている人達と一緒に働くことに不安があるという気持ちでした。
母の気持ちも分かりますが、母が父の暴力を断ち切れないが為にずっと犠牲者となり一緒に我慢を強いられてきたことで、こんな不安定な体調になってしまったのです。
暴力を断ち切る勇気に欠ける母からは子供を守ろうとする意思が見当たりません。
これは父の暴力に加担し、私を虐待することに他ならないのではないでしょうか。