Episode16 服装を馬鹿にされた過去

私はファッションに無頓着だったので、加害者からもっとお洒落な服を着ろ、隣を歩かれるのが恥ずかしいと言われ続けていました。

服屋の店員さんと一緒に選んだ服を着て行ったのですが、加害者達からはTシャツの柄が子供っぽいだのもっとマシなスカートを履けだの、何から何まで酷評を食らいました。

私が一緒に歩き出すと、ダサいから着いてくるなと加害者は言い放ちました。

それでも私は捨てられかけた犬のように躊躇いながらも一歩を踏み出します。

だって、私は加害者達の金づる。

勝手に財布が帰宅しようものなら「帰るんじゃねぇよ」と怒られるに決まっているのですから、私は静かに存在感を消して加害者達の後ろを着いていくしか選択肢はありませんでした。

そして、加害者達はいつものように近所のゲームセンターで私のお金を使って遊び、お金が無くなれば私一人が自転車を漕いで自宅までお金を取りに行かされるのです。

私に可愛い服なんて似合わない。お洒落なんて大嫌いだ!

ファッションに罪はありませんが、自宅にお金を取りに行くために自転車を漕ぎながら心の中で咽び泣きました。

そんな風にお洒落に苦手意識を持っている私がこんな可愛い服を着て良いのだろうかと迷いましたが、りりあちゃんの姿に迷いは吹き飛びました。

りりあちゃんはアパレルの店員さんになることが将来の夢なのですが、自分の体型を気にして一歩踏み出せないという話を聞かせてくれたことがありました。

私はそんなりりあちゃんの話を聞いて、勿体無いと思いました。

世の中には色々な悩みやコンプレックスを持っている人が大勢いる中で、自分なりのお洒落を全力で楽しんでいるりりあちゃんがアパレル店員さんだったら、お客さんもその勢いに引っ張られるようにファッションを楽しめちゃうだろうなと想像できるのです。

そんな素敵な夢を持ったりりあちゃんが楽しそうに自分の大好きな服を選んでいる姿に、私も可愛い服を着てみたいと感化され、気になっていた服を試着してみることにしました。

大きなセーラー服のような襟が特徴的なワンピース。

スカート部分は切り替えになっており、水色のデニム生地に白いレースがあしらわれていてとっても可愛かったです。

りりあちゃんも真希ちゃんも可愛いと言ってくれて嬉しかったそのワンピースは今でも大事に部屋のクローゼットに掛けてあります。

それからは可愛い服や清楚な服を着るのが大好きになり、色々な人からお洒落だね、その服どこで買ったの?と言って貰えて自信が付いてくるようになりました。