Episode13 安全な場所なんて無い

通信高校へ転入した私。

これでようやく心と身体を休ませられますが、だらだらと遊んでいられるわけではありません。

自由な時間に登校して、勉強も自分のペースで進められることが出来るのが魅力の通信高校ですが、反対に何もしなければ卒業の資格は得られないということ。

普通科高校のように決められた授業やテストをこなすのとは違って、一年間で与えられた課題をどう計画的に進めていくか全て自分でスケジュールを立てていかねばなりません。

気を抜きすぎて悠長に休んでいると一向に単位を取ることは出来ないのが通信高校の大変なところだと私は思います。

もちろん人それぞれのペースがあるので、ゆっくり卒業資格を取得するかたもいらっしゃいます。

ですが私は父に休ませてもらったという罪悪感を少しでも払拭するために、父にまた怒られないために、絶対残りの高校3年生を1年で卒業しなければと厳しく自分に言い聞かせていました。

私の通った通信高校は専門学校の一角を間借りしている形なので、入学式は専門学生と合同。

皆、駐車場で集合写真を撮るためにわいわいと賑わっている中、そんなことを考えながら一人眉間に皺を寄せていると、女の子が私に声を掛けてきました。

私が通信高校へ転入する際に懸念していた事項。

通信高校は私のような体調を崩して不登校になった生徒ばかりではなく、色々な事情を抱えた生徒が集まっており、その一部は不良生徒の溜まり場でもあるということ。

私は声をかけてきた女子の容姿に着目する。

着崩した学生服。

明るい髪色に派手な化粧。

他にいた女子二人も派手な見た目をしており、それらは私をいじめてきた加害者を想起させ、入学式早々にまたいじめられるのではないかという恐怖に支配されるのでした。