Episode09 加害者には何の罰もない

いじめから逃れて一ヶ月後、三者面談で私と母は担任の先生にいじめがあったことを話しましたが、加害者達に反省を促したり、罰則を与えるようなことは何一つとしてありませんでした。

家族のほうに関しては、父にいじめのことを話してしまうと直接学校に電話をしたり加害者宅に乗り込んだりと大事になり、加害者を刺激して報復を受けるのを避けるため、父には最後まで一切いじめのことは話せませんでした。

加害者に謝罪をさせたい。

貸したお金を全額返して欲しい。

本気になれば不可能ではなかったかもしれないと今となっては思いますが、当時の自分はいじめの再発が怖くて堪らなくて身動きが取れずにいました。

それでも私が唯一担任の先生にお願いしたことは、来年度のクラス替えでいじめの主犯格三人とクラスを離して欲しいというもの。

確かにクラスは一緒になりませんでしたが、4クラスに私と主犯格三人各々をバラバラにしただけ…。

廊下ですれ違うときに「おい、さやか調子に乗んなよ?」と釘を刺されたり、笑われたりといじめが完全に無くなりはしませんでした。

正直、悔しいです。

奴隷のようにこき使われて、お金まで取られて、馬鹿にされて。

もし、いじめに裁判があるなら、賠償金や慰謝料をきちんと払ってもらって懲役などの実刑判決を下して、私がちゃんと大人になるまで刑に服して隔離するぐらいのことをしてもらわないと、心の傷に見合わないと憤る気持ちがありました。

面倒な事にさえならなければいいと思っている周囲。

いじめで亡くなられた方の報道を目にするたび、本当に子をよく見ていない教師や親はなんの役にも立たないと、私が断る勇気を持てていなかったら私も崖下に落っこちて死んでいたかもしれないと、地獄の底を覗き見るような思いで心臓がひゅんと竦みます。

もうこの頃の私は面前DVといじめで疲れ果ててしまい勉強にも身が入らなくなって次第に学力が下がり、学校を休みがちになっていきました。

受験したかった高校もテストの点数が足りず、一つ難易度を落とした高校を志願せざるを得ませんでした。

しかも、いじめの加害者二人が同じ高校の同じ科を受験しており受験者も定員丁度だったため、すんなりと合格。

高校でも緊張の解けない毎日を余儀なくされました。

いきなり怒鳴って物に当たり散らす父親に怯え、

そのか細い自尊心をいじめによってさらに削られた私の心は木屑のようで、それは今も元に戻ることはありません。

そして私は高校2年生からほぼ不登校になってしまいました。

ちなみに、いじめの話を聞いた担任の先生は何て言ったと思いますか?

加害者になぜ電話を無視するのかと聞かれ、私がいじめを絶つために「もう関わりたくないと言いました。」と言ったら

大笑いしたんです。

何が面白かったんでしょうか…?

恐らく重たい雰囲気にさせないように笑ったのかもしれませんが、私は至って真面目ですしいじめを軽視されているとしか感じませんでした。

本当にあり得ないです。

その先生はその後、県の教育委員会の何かの代表になりました。